日本の美容史1
1970 〜 1990 年代の美容史 化粧品の仕事を長くしていると、時々思うことがあります。 「美しさの常識ほど、あてにならないものはない」ということです。 ある時代には美しいとされたものが、 20 年後には古いと言われます。 逆に、そんなものが流行るはずがないと思われたものが、 数年後には当たり前になっている。 化粧品の歴史を振り返ると、その繰り返しです。 今回は 1970 年代から 1990 年代まで、日本の化粧品市場の変化を、 OEM ・商品開発に携わる立場から振り返ってみたいと思います。 1970 年代:健康的な美しさ 日本では長い間、色白を美しいとする価値観がありました。 今の皆さんがイメージする透明感ある白さでなく、 おしろいを使うようなスーパーマットな白です。和装にも似合うメイクでした。 しかし高度経済成長を経て、海外旅行や欧米のファッション文化が身近になると、 美の価値観も変化していきます。 健康的な肌に太い眉にブルーのアイシャドウ。 20 代を中心に、従来とは違った美しさが支持されるようになりました。 1975 年頃からは、学生や 20 代女性を中心にサーファールックや太眉が流行しました。 今振り返ると興味深いのは、化粧品メーカーがただ流行を追いかけていたわけではないことです。 広告や商品を通じて、「こういう女性も美しいのではないでしょうか?」 と、社会に新しい価値観を提案していました。 化粧品は、単なる身だしなみ用品ではなく、 生き方を表現する商品へと変化していったように思います。 1970 年代:男性用化粧品 今では男性が化粧水や美容液を使うことは珍しくなく、 メンズメイクという製品も売れています。 しかし 1970 年代頃の日本では、男性が化粧品を使用することに 今よりはるかに強い抵抗感がありました。 そのため男性向け商品では、「美容」というより、 爽快感や香り、みだしなみといったコンセプトが前面に出されていました。 ここには商品企画として、とても重要なヒントがあります。 同じ機能の商品でも、「どう意味づけするか」によって市場は変わるということです。 現在のメンズ美容市場の広がりを見ると、そ...